利休にたずねよ (映画・読書感想ネタバレ)

山本兼一著:PHP文芸文庫 表紙女のものと思われる緑釉の香合を肌身離さず持つ男・千利休は、おのれの美学だけで時の権力者・秀吉に対峙し、天下一の茶頭へと昇り詰めていく。しかし、その鋭さゆえに秀吉に疎まれ、切腹を命ぜられる。利休の研ぎ澄まされた感性、艶やかで気迫に満ちた人生を生み出した恋とは、どのようなものだったのか。思いがけない手法で利休伝説のベールが剥がされていく長編歴史小説。第140回直木賞受賞作(PHP文芸文庫より)

少し前に読了したので、少々、記憶が曖昧なところもあります(^^; ですが、映画の方は、今日、鑑賞してまいりましたので、その感想などを綴ってみようと思います。

まず、初っ端からネタバレとなってしまいますが、本の方は、この手の歴史伝記モノとしては、事象の時系列を逆に辿るという極めて稀な進行を取る作品となっております。これは、映画も、切腹シーンから始まるので同じ仕組みです。

千家流始祖となる千利休が、茶道において「侘び寂び」を集大成した人物で、信長・秀吉に仕えたことや、
大徳寺塑像の件で、町民でありながら、武士同様に切腹を命ぜられたことは謎ともされてますが、
日本史の教科書でも教えてくれる内容だし、これまで、大河ドラマなどでも、度々、登場している人物なので
おおまかな生涯は、皆様、既にご存知のことも多いと思います。

市川海老増蔵・中谷美紀主演 映画「利休にたずねよ」公式サイト トップ画像

実際に、千利休が本作品に登場する緑釉の香合に執着したのかは、寡聞にして存じませんが、
もしかすると、これは作家の創作かもしれません。

千利休の茶に対する姿勢や、詫び寂び茶の原点を語る上で、何故、彼が、一期一会に拘ったか等についても、
緑釉の香合は、作家的想像の小道具・作品の象徴なんじゃなかろうか、と疑ってる、うたです。
だとしても、それが史実であろうと無かろうと、全く不自然さもなく、香合への思い入れが、
一人の女性への思いと重ね合わせて熱く、でも淡々と語られるクダリには、ぐいぐいと引き込まれます♪

香合は、茶道具の中では、掛け軸と共に格が高く、懐に忍ばせておくには、丁度良い品だった、
ということもあるかもしれませんね(A^^;)

映画作品では、本書で描かれるエピソードの全てを取り込む訳にはいかないのと、
多少、遡り方が異なりますし、登場人物の描き方が、利休と妻である宗恩を除くと、
若干、弱い部分が見受けられました…特に、秀吉は、随分とお手柔らかな描き方だな、と(^^;
原作では、秀吉との確執が、随分と秀吉という人物のアクの強さが目立ったもので(笑)

裏千家流 茶室「今日庵」の露地 映画サイトから拝借してきました

豪華な出演者にもかかわらず、映画作品の出来映えとしては、もう一つかなぁ、と思う部分もありますが、
現存する茶室や庭、三千家所蔵の国宝級の名器を始め個人蔵の名物などは、さすが!と唸ってしまいます☆
もうちょっと、ゆっくりカメラを回して、じっくり見せてくれれば良いのに、なんて思います(A^^;)

裏千家さんの今日庵の露地も、うたは訪れたことが無いのですが、静謐で凜とした佇まいは、
写真などで見てはいても、大画面で、移ろう陽射しの影の美しさには溜息がでました♪

後、着物には着慣れているとはいえ、市川海老蔵さんの所作は、手先まで美しく、
実際の茶を点てる映像は、同年輩のお家元のお弟子さんの方々でしょうが、やはり、とても美しく、
う~ん…日頃、いかにガサツに茶を点てているか、と猛反省してまいりました(苦笑)

映画は映像美として、茶室において自然光に近い形の撮影も含め、原作では味わえない良さがありますが、
面白さ、という点に絞ると、やはり緻密に構成される原作を読まれることをお勧めしておきます☆

最後に、本の解説を書かれた宮部みゆき氏が、何を利休にたずねよ、と言っているのか、
氏は「あなたが本当に愛していたのは宗恩(妻)ですよね?」と聞きたいと言われてます。

それは、受け手側によって異なると思いますが、うた的には、
「利休さん、あなたにとって茶の湯とは何ですか?」と問いたいですね(^^;

政治や時勢に翻弄されながら追い続けた詫び寂びの美、それだけが茶の湯なのでしょうか、と。

 ※ 詳細な映画情報や、名器の映像等は、こちらを参照なさって下さい。
    映画「利休にたずねよ」公式サイト http://www.rikyu-movie.jp/



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うたかたの幻

Author:うたかたの幻
3年ぶりに更新を始めました!気分転換で、お出かけした写真エッセイのほか、読了した本についての感想、鑑賞した映画などなど、諸々思いついたままに綴っています。

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