QED鬼の城伝説の舞台を訪ねて(読書感想文)

高田崇史著『鬼の城伝説』講談社文庫表紙 桃太郎の鬼退治は、曇りなき善行だったのか? 岡山・吉備津神社に今も伝わる鳴釜神事では、大和朝廷によって退治された鬼神「温羅」が、釜を唸らせて吉凶を告げるという。一方、桑原崇は、旅の途中、鳴ると凶 ― 主が死ぬという大釜に遭遇。事実、土蔵に長男の生首が。事件の核心“桃太郎伝説”の騙りとは?(高田崇史著・講談社文庫より)

昨年の秋に、失業が決まった翌日、退職記念に購入したコンパクト一眼で初めて撮影した写真なので、少し古いネタですが、最近は、お出かけもしていないので、せっかく撮影したのに、お蔵入りも残念…ということで、お付き合い下さいませ☆ 

高田氏のQEDシリーズは、歴史好きな、うたが好きなシリーズ推理小説で「百人一首の呪」から数えて7作目となる作品です。とはいえ、いい加減に後先に読了してまして、この作品を読み終える前に、後の発表作品を読んでいたりします。

史跡としては有名なので知っていたのですが、なかなか、わざわざ行く気にならなかった
総社市にある鬼ノ城に写真を撮りに行こう、と思った動機は、この作品を読んだからです(A^^;)

復元された西門です

桃太郎のお話は、岡山県人ならずとも、誰もが知っている御伽噺ですが、これが高田氏の手にかかると、
まるっきり、あらすじが異なってしまいます…氏の一貫した歴史観は「歴史は勝者の改ざんである」というもの。

本作品も、そういう視点から書かれたもので、小説内の殺人事件の謎解きも、まぁ、面白いのですが、
桃太郎のモデルとされる吉備津彦命が、大和朝廷の命令で、製鉄と豊かな土地であった吉備王朝の
乗っ取りを企て、それに対抗した吉備王朝の首領である温羅との攻防が、桃太郎伝説だ、というもの。

屏風折の石垣を臨む

鬼ノ城は、まだ発掘半ばなので、これぞ定説というのはありませんが、白村江の戦い(西暦663年)で
敗れた大和朝廷が、先進技術であった朝鮮の山城を手本に、防御の砦として築いたという説が有力です。

とは言うものの、それ以前、地の利を考えれば、平定前の吉備王朝の拠点だった可能性も高く、
その裏づけとして、岡山市一宮から総社に至る街道沿いには、桃太郎伝説に因む神社などが点在しています。
本書でも、その辺りの時代変遷の説明は、なかなか説得力があって、「なるほど~!」と思っちゃいます☆

「温羅舊(旧)跡 」と刻まれた石碑


史跡「鬼ノ城」一帯は、ぐるっと巡るウォーキング・コースが整備されていて、本格的な健脚コースから、
うたが行った、城壁ぐるっとコースなどがあって、西門まではバリアフリーで登れます。
ハイヒールでは無理ですが、スニーカー程度でも充分にお散歩可能です(*^^*)v

西門から、建物礎石群、屏風折砦跡、北門に至る途中に「温羅舊跡」と刻まれた石碑がありました。
実際に温羅の軍が、この山城に居たか、どうかは解りませんが、戦前は「鬼が島」と想定してたみたいですね(^^;

屏風折城壁から吉備平野、瀬戸内海方面を望む

「山や湖や海を見渡せる場所っていうのは、何ヵ所も行ったことがあるけれど、
一つの大きな市街を完全に見渡せる場所というのは初めて」と本書のヒロインに述べさせているとおり、
たかが標高400mほどですが、お天気が良い日には児島湾まで見えるそうです(*^^*)

大和朝廷の時代ならば、多分、今より海岸線も近かったらしく、吉備津も、どうやら港だったらしいので、
その当時ならば、集落はむろん、瀬戸内海を行き来する船なども間近に見張ることが可能だったでしょう。

そうそう!桃太郎のお供である猿・雉・犬についても、面白い見解を述べていらっしゃいます。
このシリーズの面白さは、むしろ、歴史的な神社の来歴や、御伽噺の新解釈にあります。

素直に納得できる部分もあれば、そうかなぁ、そうかもなぁ、と思う部分もありますが、
地元に住んでいて、歴史の授業で教えてもらったことを鵜呑みしていた、うたとしては、
ちょっとした「目からウロコ」的な解釈でした(A^^;)


  ※史跡「鬼ノ城」については、こちらのサイトをご参照ください
    ☆岡山県古代吉備文化財センター公式サイト http://www.pref.okayama.jp/kyoiku/kodai/kinojou-top.html
    ☆鬼ノ城ウォーキング http://park.geocities.jp/aenzic/




スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

うたかたの幻

Author:うたかたの幻
3年ぶりに更新を始めました!気分転換で、お出かけした写真エッセイのほか、読了した本についての感想、鑑賞した映画などなど、諸々思いついたままに綴っています。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR